ワイヤーハーネスの規格・標準

2017年03月31日

加工・検査・技術

 ワイヤーハーネスは主に電線・ケーブル、端子、コネクタ、外装品を組み立てた部品の集合体です。ワイヤーハーネス本体、またはそれを構成する各種部品は様々な規格(材料・構造および加工方法・性能・試験方法等について定めた標準)や法律に準じて製造されています。また電気・電子機器には安全規格と呼ばれる機械の安全に必要な事項を定めた規格が存在します。

 各規格は国際的に標準化され利用されている国際規格から、各国で定められた規格、官庁・研究機関・業界によって定められた規格などが存在します。各種の規格や標準は法律で遵守することが義務づけられているものと、各国各地で推奨されているもの、各企業が基準として採用しているものなど位置づけは様々です。

ワイヤーハーネス本体、またはそれを構成する各種部品に関連する主要な規格は以下です。

■国際規格:IEC規格(国際電気標準会議)、ISO規格(国際標準化機構)
■各国規格:ANSI規格(アメリカ合衆国)、CSA規格(カナダ)、EN規格(欧州)、
EC指令(欧州)、GB規格(中国)、KS規格(韓国)、JIS規格(日本)
■その他規格:UL規格、ASTM規格、NEMA規格、NFPA規格、MIL規格、IEEE規格

 また、各国での販売や輸入の際に各国法令や指定の規格を満たしているか国や指定機関からの審査、
認証を行う制度があり、認証された製品に指定マークを表示することが義務づけられている場合があります。
代表的な認証マークは以下です。

■欧州:
CE
ドイツ:VED、TÜV、BG
イギリス:BSI、BEAB、ASTA
デンマーク:DEMKO
ノルウェー:NEMKO
フィンランド:FIMKO
スウェーデン:SEMKO
オランダ:KEMA
イタリア:IMQ
スイス:Electrosuisse

■アメリカ:UL(リスティングマーク)、レコグニションマーク  カナダ:CSA
■中国:CCC
■韓国:KOSHA
■日本:PSE

 ワイヤーハーネスまたはワイヤーハーネスを組み込んだ最終製品の販売先や輸出先によってどの規格や認証を満たす必要があるか確認し、ワイヤーハーネスを構成する各種使用部品を選定する必要があります。また、ワイヤーハーネスの製造プロセスが各種規定に準じているか認証が必要な場合もあり、例としてULワイヤリング・ハーネス・プログラムという加工されたワイヤーハーネスのUL認証を保証するためのプログラムが存在します。

 各種規格や各国の認証制度はワイヤーハーネスの使用部品の選定や製造工程の作りこみに影響を及ぼすため設計初期において重要な確認事項です。同じような製品でも納入国が違うと、設計を変更しなければならないケースがあります。

 例えば、EU指令であるRoHS指令は広く浸透していて電子・電気機器における特定有害物質の使用を制限している指令です。鉛 、水銀、カドミウム 、六価クロム、ポリ臭化ビフェニル (PBB)、ポリ臭化ジフェニルエーテル (PBDE)、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)、 フタル酸ブチルベンジル(BBP)、フタル酸ジ-n-ブチル(DBP)、フタル酸ジイソブチル(DIBP)に対して使用制限がされています。そのためワイヤーハーネスに使用される各種部品に対してもRoHS対応品が求められます。RoHS指令を遵守する必要がある場合は、設計段階でRoHS対応品での部品選定が必須となります。