ワイヤーハーネスとUL規格

2017年04月05日

加工・検査・技術

ワイヤーハーネスに関連するUL規格はULトレーサビリティプログラムのワイヤリングハーネス(Wiring Harnesses、UL登録カテゴリーZPFW2)とプロセストワイヤー(Processed Wire、UL登録カテゴリーZKLU、ZKLU2)です。

UL認証を得たワイヤーハーネスはUL認証を得た各構成部品を組み立てて製造されます。UL認証を得た各構成部品には以下のようにULに対応している証拠であるULラベルが貼付されていたり、梱包の袋にレコグニションマークが印字されています。しかし、電線を切ったり、袋から部品を取出してしまうとUL認証を得た部品をワイヤーハーネスの製造に使用したのか判別が難しくなっていまいます。そこでULトレーサビリティプログラムではULに適応した仕様のとおりUL認証を得ている部品が正しく管理されワイヤーハーネスの製造に使用されていて、UL認証されたワイヤーハーネスが出荷されているか確認し認証します。

電線に添付されているレコグニションマーク

ULトレーサビリティプログラムでは定期的に予告なく製造現場に検査員がきてトレーサビリティの検査をおこないます。検査が出来ない場合はペナルティとして罰金が発生することがあります。検査ではまず対象製品とULラベルの残数と管理方法の確認をします。ULラベルの管理はノートに手書きで出納を記録するなど記録が改ざん出来ない仕組みでなければなりません。次に対象製品に使用される全部品のレコグニションマークと保管方法を確認し、製品にUL認証されている部品が使われいるか検査します。最後にワイヤーハーネスの完成品とその梱包状態、梱包で貼付するULラベルの確認をおこないます。検査後は検査報告書(Inspection Report)が送付されてきます。

出荷時に貼付するWiring HarnessesのULラベル

ワイヤリングハーネス(Wiring Harnesses)とは一般的なワイヤーハーネスに対する認証で、プロセストワイヤー(Processed Wire)は電線やケーブルを切断した製品、また切断した電線・ケーブルの両端に端子を圧着した製品のみに対する認証です。プロセストワイヤーは加工によりカテゴリーが2つ存在し、LISTED電線のカット加工はZKLU、機器用配線材はZKLU2です。

製造の管理体制が整っていれば、UL認証を受けることは特に難しい事ではありません。ULジャパンに連絡して指示通りに申請すれば認証を取得できます。ただし、UL認証を取得するには初期費用として数十万円、年間登録費用として数十万円/年の費用がかかり、ULラベルは購入しなければなりません。よって、UL認証を得るときには採算性があるか検討が必要となります。またUL認証を受けている製品の出荷量が低迷して、受注開始当時は採算性があったが現在は不採算となっている場合もありますので、定期的に採算性を見直しましょう。UL認定の取り消し、また再開の手続は簡単です。