固定資産の分析

2017年06月06日

運営・経営

 固定資産は、時の経過とともに価値が減少するため、減価償却を行います。では、この減価償却はいつまで続くのでしょうか?

 答えは、「耐用年数到来まで」です。耐用年数は、固定資産を使用することができると考えられる年数です。固定資産が使用できると見込まれる間、ずっと減価償却費が発生します。

 ただ、ちょっと考えてみてください。固定資産は長く使うので”固定”なのです。たとえば、建物は50年と見積もられるものもあります。50年間、ずっと減価償却費が発生することになるのです。

 このように、長期間にわたり会社負担となる費用をコミッテッド・コスト(拘束費用)といいます。将来ずっと影響するものですから、拘束費用の生じる意思決定は、慎重に行う必要があるのです。

 このコミッテッド・コストが生じることも関連し、固定資産は多ければ良い、というわけではありません。固定資産の適正水準の分析には、固定資産回転率が用いられます。

固定資産回転率=売上高÷固定資産 (単位:回転)

 固定資産回転率が大きいと、固定資産を効率的に使っていると判断できますが、逆に小さいと遊休資産(使っていない資産)が多い可能性があります。

 固定資産回転率は、固定資産がどれだけ売上に貢献しているかを示し、大きいほどよいのですが、業界水準が異なるため、同業種と比較することが適切です。傾向としては、製造業の方が流通業などよりも固定資産投資が多いため、製造業の固定資産回転率は比較的低くなります。製造業の業界平均は2~3回転です。

参照:「ゼロからわかる!決算書」 著者:石島洋一、石島慎二朗 PHP研究所