安全性の経営分析

2017年04月26日

運営・経営

貸借対照表B/Sの数値を使って安全性を分析することができます。まずは流動比率です。

 流動比率(%)=流動資産÷流動負債

 流動資産は原則として、1年以内に回収される資産のことを指します。現金預金、営業債権、有価証券などの資金と、部品や仕掛品などの棚卸資産、またそのほかの短期性資産がこれに該当します。

 流動負債は短期間に現金で返済しなければならない項目であり,買掛金や支払手形や1年以内に支払期限が到来する項目です。

 流動比率は、1年以内に現金化される流動資産と1年以内に支払う義務のある流動負債のバランスから、会社の支払能力を分析する指標になります。一般的には120~140%程度あれば十分といわれています。

次に固定比率です。

 固定比率(%)=固定資産÷純資産(自己資本)

 固定比率は固定資産に投資した資金が返済義務のない自己資本ででどれだけまかなわれているかを判断する指標です。固定比率は140%程度が平均です。数値が低いほど安全性は高いですが、低すぎる場合、設備投資が過度に消極的になっている可能性があります。

さらに固定資産投資のバランスを見る固定長期適合率の分析をしてみましょう。

 固定長期適合率(%)=固定資産÷(純資産+固定負債)

 固定比率よりも一歩譲って固定負債も資金調達の選択肢に入れたのが、固定長期適合率です。固定負債は支払期限が1年以上後の負債で長期負債とも言います。 社債、長期借入金等がこれに該当します。固定長期適合率が100%超である場合、返済期日の近い流動負債の資金まで投入していることになりますから、不安定な状況を示します。

最後に自己資本比率です。

 自己資本比率(%)=純資産÷総資本

 自己資本比率は会社の財政状況の安定性を示す指標です。高ければ高いほど負債の割合が低く、無借金経営に近い状況を示すことになります。ただし、一方で自己資本比率が高いということは、総資産が過小となっている、すなわち設備投資に消極的すぎている場合があります。借金をしないかわりに投資も控えていたのでは、会社の成長力に悪影響を及ぼす可能性があります。

これらのバランスを考慮すると、自己資本比率は50%程度が理想といわれています。

参照:「ゼロからわかる!決算書」 著者:石島洋一、石島慎二朗 PHP研究所