キャッシュフロー計算書C/F

2017年04月26日

運営・経営

 ひと昔前までは、決算書というと損益計算書と貸借対照表を示していましいた。平成12年に新たにキャッシュフロー計算書(Cash Flow Statement、略称「C/F」)が導入され、一躍脚光を浴びたのです。

 キャッシュフロー計算書は、その決算期間にどのようにキャッシュ(現金)が生まれ、どのように使われたかを示すものです。企業の経営活動を「キャッシュ(現金)」という観点から見てみようというのが、キャッシュフロー計算書です。

 では、キャッシュフロー計算書はなぜ必要になるのでしょうか。黒字倒産のように損益計算書で利益が出ていても、売上に対する入金が数か月後で実際にお金がはいってこない場合には、資金繰りが悪化して倒産してしまうことがあります。

 また損益計算書では、減価償却費などのお金の動きを伴わない費用も存在します。利益とお金の動きが直結していないのです。これでは、「結局お金の増減はどうなっているの?」ということがわかりません。

 このように、損益計算書には、資金の動きがわかりづらいという弱点があります。そこで、会社のお金の動きを表すことに特化した財務諸表であるキャッシュフロー計算書が登場します。キャッシュフロー計算書は、会社がどのようにお金を獲得し、どのようにお金を使ったかを示し、損益計算書の弱点をカバーする決算書なのです。

 キャッシュフロー計算書は、収支の発生原因により大きく以下の3つの区分に分けられます。

1:営業活動によるキャッシュフロー
 この区分には、営業から生じる収入と支出(収支)が記録されます。営業から生じる収支とは、ワイヤーハーネスの販売による収入や部品の仕入れによる支出、営業費用の支出に関する入出金が該当します。損益計算書でいうところの、営業損益までの部分にほぼ相当する区分となります。

2:投資活動によるキャッシュフロー
 この区分には、投資によって生じる収支が記載されます。投資によって生じる収支とは、投資有価証券の売買によって生じる収支、固定資産の売買によって生じる収支、資金貸付やその回収によって生じる収支などが該当します。

3:財務活動によるキャッシュフロー
 この区分には、財務に関連して生じる収支が記載されます。財務に関連した収支とは、借入金の新規借入れ・返済や社債の発行・償還などによる収支が該当します。また、増資による入金や配当金の支払いなども財務関連ですので、この区分に記載されます。

 3つの区分に分けることによって、どの活動にどの程度現金を使い、どの程度現金が入ってきて全体の収支に影響しているのか、分かり易くなります。

 キャッシュフロー計算書の作成義務があるのは上場企業ですが、非上場企業でも資金管理のため自主的に作成する場合もあります。資金繰りに不安がある、資金の動きが良く把握できない、など悩んでいる場合はキャッシュフロー計算書を作成しましょう。月毎にキャッシュフローの予測や実績の観測をすると、より現状が把握できます。

参照:「ゼロからわかる!決算書」 著者:石島洋一、石島慎二朗 PHP研究所