販管費の経営分析
2017年05月01日
販管費の中でもっとも目立つ存在が人件費です。人件費は、労働に対して支払う金額のことをいいますが、給料以外にどのようなものがあるのでしょうか。
おそらく、給与の次に思い浮かぶのは賞与ではないでしょうか。賞与も、労働に報いるために支払われるものですから人件費です。また、退職金も同様、人件費に含まれます。
さらに、社会保険料の会社負担分である法定福利費も含まれます。給料から社会保険料が天引きされていてがっかりする方も多いかと思いますが、会社もずっしりと重い社会保険料を負担しているのです。
人件費の分析では売上総利益に対する人件費の割合を示す「労働分配率」が代表的な指標です。
労働分配率=人件費÷売上総利益 (単位:%)
売上総利益=売上高ー売上原価
ワイヤーハーネスの製造業が主に属す、「その他電子部品・デバイス・電子回路」では業界平均の労働分配率は70%台と製造業の中でも高い傾向にあります。労働分配率が高いのは人による仕事が多いということですが、付加価値が低いという見方もできます。
労働分配率は「1人当たり人件費」、「労働生産性(1人当たりが生み出す価値)」に分解することができます。
これらの指標をみることで、従業員1人あたりにかかる費用が大きすぎていないか、従業員の生産能力に問題はないかどうか、といった分析ができます。1人当たり人件費を低く、労働生産性を高くしていけば労働分配率は低くなります。
このように、比率を細かく分解していくことで、より深い分析ができるようになります。これは比率分析に共通していえることです。
参照:「ゼロからわかる!決算書」 著者:石島洋一、石島慎二朗 PHP研究所