ワイヤーハーネスとRoHS規制

2017年03月31日

加工・検査・技術

EUのRoHS指令は電子・電気機器における特定有害物質の使用を制限している指令です。ワイヤーハーネスは電子・電気機器の構成部品に該当します。RoHSの正式名称は「the restriction of the use of certain hazardous substances in electrical and electronic equipment」です。

RoHS指令の対象である電気・電子機器の定義は以下となっています。

「電気・電子機器とは、正しく動作するために電流または電磁界に依存する機器であって、WEEE指令付属書1Aに定めるカテゴリーに属するもの。さらに交流1,000V、直流1,500Vを超えない定格電圧で使用するように設計され、そのような電流と電磁界を発生、伝導、測定するための機器を意味する」

規制の対象となる特定有害物質は2015年6月に4物質が追加され、以下の10物質となりました。濃度は閾値(含有の限界値)を示しています。

1:鉛:0.1wt%(1,000ppm)
2:水銀:0.1wt%(1,000ppm)
3:六価クロム:0.1wt%(1,000ppm)
4:PBB(ポリブロモビフェニル):0.1wt%(1,000ppm)
5:PBDE(ポリブロモジフェニルエーテル):0.1wt%(1,000ppm)
6:カドミウム:0.01wt%(100ppm)

<新規追加物質>
7:DEHP(フタル酸ジ-2-エチルヘキシル):0.1wt%(1,000ppm)
8:BBP(フタル酸ブチルベンジル):0.1wt%(1,000ppm)
9:DBP(フタル酸ジ-n-ブチル):0.1wt%(1,000ppm)
10:DIBP(フタル酸ジイソブチル):0.1wt%(1,000ppm)

また、該当する電気・電子機器の具体的なカテゴリーはEUのWEEE指令で以下のように分類されています。

第1製品群:大型家庭用電気製品
第2製品群:小型家庭用電気製品
第3製品群:ITおよび遠隔通信機器
第4製品群:民生用機器
第5製品群:照明装置
第6製品群:電動工具
第7製品群:玩具、レジャーおよびスポーツ機器
第8製品群:医療用機器
第9製品群:監視および制御機器
第10製品群:自動販売機類
第11製品群:上記製品群に入らないその他の電気・電子機器

RoHS指令の適応開始時期は上記第1~7、10製品群が2006年7月1日で、第8製品群の中の医療用機器と第9製品群の中の監視及び制御機器が2014年7月22日、第8製品群の中の体外診断用医療機器が2016年7月22日、第9製品群の中の工業用監視制御機器が2017年7月22日、第11製品群が2019年7月22日となっています。

製品によって適応開始時期が違いますが2006年からRoHS指令の適応が開始されている製品群も多いため、現在ではワイヤーハーネスの構成部品のほとんどがRoHS対応品となってきています。ワイヤーハーネスに半田加工が必要な場合は、鉛を含有していない鉛フリー半田を代替品として使用しなければなりません。RoHS指令以前は鉛を含有している半田が主流であったので、代替品の使用を図面に明記するように注意が必要です。

ワイヤーハーネスの納入先からワイヤーハーネスはRoHS対応しているか問われた場合は、ワイヤーハーネスの各種構成部品に対してRoHS対応品である根拠を示しましょう。各種構成部品を製造している部品メーカは、該当部品がRoHS対応品であるという証明(例:RoHS指令物質不使用証明書)を通常おこなっていますので、部品メーカに証明を依頼します。