ワイヤーハーネスと人材育成トレーニング

2017年03月31日

運営・経営

ここでは具体的なトレーニング方法について考えていきましょう。

■OJTとOff-JT
従業員の代表的な育成方法としては、OJTとOff-JTがあります。

OJT(On the Job Training)とは、職場内研修というトレーニングを業務を通して行うものです。先輩従業員や上司が、仕事を遂行するために必要な能力を、普段の仕事を通して計画的にマスターさせるために行います。実際の仕事の際にOJTは行われるため、育成方法としては継続的かつ効率的なものであると考えられます。しかし、そもそもの社内スキルが統一されていない場合、指導者によって教える内容や方法に相違が生じます。

ワイヤーハーネスの製造現場ではOJTが頻繁に行われます。作り方を教えながら実際に作業をして品質やスピードを向上させていきます。教育内容が整理されておらず教え方が不十分であったり、初めだけ教えて途中の確認を怠ったり、OJTが非効率にならにように計画・準備・実施をしましょう。

一方、Off-JT(Off the Job Training)は、職場外研修という普段の仕事から離れて行う、社外の研修や社内の研修、ネットを使ったeラーニング、通信教育などです。
Off-JTのメリットとしては、仕事から離れることによって学習に集中できる、経験や知識がマスターできることが挙げられます。またこれ以外にも、普段はマスターできないようなマインド研修など、実務では学べない学習に触れられるチャンスになります。ほとんどの研修は短期間で終わるので、フォローが職場への展開や効果測定がしにくいことがデメリットです。

■組織開発
従業員一人ひとりの能力をアップさせ、必要な機能を盛り込むだけの組織作りでは、到底、組織力の向上にはつながりません。従業員の能力と仕事がマッチしているか、実際に仕事をする部内のメンバー同士の相性やなどによっても左右され、組織全体の生産性が違ってきます。つまり、組織開発というのは、経営目標に合うように、従業員の組み合わせ、個々の力量を考慮し、組織を改善、再構築して、組織力をアップさせることです。

従業員同士の協働やコミュニケーション、組織に対する信頼感、目標に対するコミットメント(責任を伴う約束)、部署全体の一体感も左右するものです。この組織力の違いが、別の会社との差別化になります。組織力の差別化ができるものとしては、ナレッジマネジメント力、継続的なリーダーの輩出が挙げられます。ナレッジマネジメントとは個々の人材が持っている知識や情報を、会社の財産として全員で共有し、有効活用することです。

■研修・教育計画の立案方法
研修・教育としては、新人研修以外に、職能別研修や階層別研修、社外研修、テーマ別研修など、さまざまなものがあります。
どの研修の場合でも、研修計画を立案する場合には、研修する内容、場所、日程、講師、研修の人数と対象者、時期、予算などを決めておく必要があります。計画を立案する方法としては、ゴールの設定からまずスタートします。つまり、研修した後にどのようになって欲しいかという研修の位置付け、どのようなことを学習して欲しいかという学習の目標を決めます。これをベースにして研修する方法を決めます。方法としては、ワークショップ型や講義型などがあります。

次に、研修する手順を決めて講師を選定します。どのような講師を選ぶかは、研修の目標や研修する内容に非常に関係します。そのため、場合よっては講師を先に決めておいてから、研修する手順をその講師と一緒に検討するケースもあります。講師の候補としては自社の人材の他に、同業他社や取引先、該当分野の専門家などが挙げられます。

ワイヤーハーネスを製造している企業は中小・零細企業が多く、人材育成トレーニング全般が疎かになっている傾向があります。新人の教育はもちろんのこと中堅、管理職、経営幹部向けのトレーニングを定期的に企画し、社内の人材を成長させて企業を発展させましょう。効果が高い教育トレーニングをおこなえば企業のレベルは確実に向上していきます。