【講演レポート】MONOist IoT Forum 2019東京(主催:アイティメディア株式会社)
2020年01月20日
ワイヤーハーネス業界のみならず会社を運営に携わる人々はときには研修等を受講して学び、実践に生かすことが必要です。社内での勉強会や研修も重要ですが、社外研修・講演はその分野のプロや専門的な知識のある外部の方が講師となり自社だけでは学べないリアルな知識を吸収でき、視野が広がって新しい発見ができます。
ワイヤーハーネスの大学では社外研修・講演を実際に受講した様子をレポートしていきます。
講演タイトル:MONOist IoT Forum 2019
主催:アイティメディア株式会社 MONOist 編集部(主催者詳細は文末参照)
MONOist IoT Forumは製造業界に特化したIoT(Internet of Things)の最新トレンドを伝える、日本の製造業をけん引する企業の事例や最先端研究に関する講演です。MONOist IoT Forum 2019東京の講演は午前と午後で全9つのセッションで構成されていて、東芝やオムロンなど有名企業によるIoT事例紹介や各種導入サービスをおこなっている企業からの導入実態など多くの情報をまとまって聴講できます。参加費は無料ですが、なんとお昼にはランチセッションというお弁当とドリンクが無料で配布される講演もありお得感がありました。
講演全体の印象としてとにかく横文字が多かったです。DX、CPS、OPC UA、AR、デジタルツイン、スマートファクトリーなどなど聞いたことあるけど良くわからない、または全く聞いたことがない用語もたくさんありました。8つの講演が休憩含めて7時間程度で行われましたが、知識不足であまり理解できない講演も、、、
が、しかし全体的なトレンドや状況は少し理解できました。年々IoT導入事例は増加しており、IoTに関心が高い企業がメジャーになってきています。
実際にどのような分野でIoTの導入が進んでいるかというと、製造のトラブル発見や予知、保守と修理分野で実用化が進んでいるようです。
例えば、家の家電が壊れそう(壊れた)ことを関知してタブレットをとおして住民に伝え、タブレットに自分で対応できる場合はメンテナンス方法が表示されたり、またメンテナンス業者に故障情報を通知して出願鵜修理を効率化するといっ事例がありました。一般的には家電を使おうと思ったら動かなくて故障に気づき、メンテナンス業者に電話して10分ほど説明してやり取りしたりと、時間と手間がかかっているところを顧客と企業どちらの視点からも効率化されます。
また部品や半製品の自動運搬も実用化が進んでいました。必要な部品を必要数感知して自動で運んだり、出来上がった半製品を感知して次の工程に自動で運搬したりといった事例がありました。運搬は人が行うと疲労にもつながり、また非常に単純な作業のため機械化が有効です。搬送ロボットは人や物に衝突しないようにセンサーで周囲を感知して動きます。
さらに進んでいるなと思ったのが受注情報によって工程を自動で組み替えるというIoTシステムです。工程の組み替えは人がおこなうイメージが高かったので驚きました。まだ実用化が広く進んでいるようではありませんでしたが、先々はこういったシステムが当たり前のことになっていくのでしょうか。
AR技術の実用化についても講演がありました。ARとは拡張現実感(Augmented Reality)の略で、実際の景色、地形、感覚などに、コンピュータを使ってさらに情報を加える技術を指します。ARは視覚的に情報を分かりやすく伝える特徴があるためトレーニングへの活用が進んでいます。例えば機械の前に立つと装着しているゴーグルに機械の使い方が文字と映像で表示されるといったイメージです。人手不足で外国人作業者が増えると見込まれていて、外国人への作業教育にも注目されているそうです。
規格化も進んでいるようです。OPC UAとはOLE for Process Control Unified Architectureの略で産業オートメーションなどの業界で、安全で信頼性あるデータ交換を行うために策定されたオープンな国際標準規格です。OPC UAは欧州を中心に世界中の企業などで選ばれて利用されています。このような規格化の進展はIoT市場の発展に欠かせません。
講演を聞き終えてIoT市場の発展がまたワイヤーハーネス業界にどのような変化をもたらしていくのか非常に興味深いと思いました。引き続きIoT関連の講演会や展示会に参加し、ワイヤーハーネス業界での具体的な事例などを探していきたいきます。
主催者詳細
アイティメディア株式会社はソフトバンクグループでインターネット専業のメディア企業であり、ITとその周辺の領域では日本最大級です。
MONOistはアイティメディア株式会社が提供している製造業に従事するエンジニアを対象に、モノづくりの現場で働くスペシャリストの役に立つ技術情報や業界の最新動向を提供するメディアです。「組み込み開発」「メカ設計」「製造マネジメント」「オートモーティブ」の4つのフォーラムを中心に、基礎から応用まで多彩な技術解説記事、図版を多用した分かりやすいコンテンツ、話題のトピックスをより深く掘り下げた連載記事など、モノづくりに役立つ蓄積型コンテンツを充実させ、製造業における最新かつ専門性の高い技術情報を発信することで、技術者の問題解決をサポートしています。MONOistの名称は、“モノづくり(MONO)” と “~する人(ist)”の造語です。