ワイヤーハーネスのその他特殊工程

2017年04月05日

加工・検査・技術

ワイヤーハーネスの製造工程で、通常はあまり発生しない特殊な加工工程について紹介します。

・ツイスト線・撚り線の製作
 単線を複数本撚り合わせてツイスト線・撚り線を製作します。2,3本の細い汎用的な電線であれば電線メーカがツイスト線・撚り線の製作に対応してくれる場合もありますが、特殊な電線や太い電線は問題もあり電線メーカが対応してくれない傾向にあります。また少量しかツイスト線・撚り線を必要としない場合などは自社で製作した方が簡単で安価です。ツイスト線・撚り線は複数の電線の先端を固定し電動ドリルや専用のツイスト機で電線を回転させながら撚り上げて製作します。電線が太く電動ドリルやツイスト機では対応できない場合は手作業で編み込んで撚り上げます。

・中間剥ぎ
 電線やケーブルの両端部でない部分のシースを剥き取ります。剝ぎ取りたいシースの両端と両端面に垂直にカッターやクルリッパー(ケーブル皮むき治具)を用いて刃を入れ不要シース部を手で剥ぎ取ります。刃を入れすぎるとケーブル内部の電線や編組シールドを傷付けてしまうので注意しましょう。

・コーキング・シーリング
 コーキング・シーリングとは気密性や防水性のために隙間を樹脂などで充填することです。ワイヤーハーネスの製造工程では主に防水性を持たせる目的で、シースの端や電線とコネクタの間などにコーキング剤を充填します。チューブ専用ガンにコーキング剤チューブを取り付けてコーキングをおこないます。

コーキング剤チューブとチューブ専用ガン

コーキング作業

・薬剤洗浄
 ケーブル内部に液体の潤滑剤や薬品が充填されている場合、シース剥き工程の後にそれらを除去するために薬剤によりシースを剥いた部分を洗浄します。内部の液体の物性によって、洗浄に使用する薬剤や洗浄方法を選定します。

・編組ブレードの編み込み
 ワイヤーハーネスの耐摩耗性と耐腐食性、耐熱性、引張強さなどを強化するために、編組ブレードと呼ばれる化学繊維を編み込んでワイヤーハーネスを包み込み保護したものを製作します。編み込み作業は専用の機械を用いておこないます。化学繊維と編み込み方を選定することで、編組ブレードが持つの性能が変化させることができます。