ワイヤーハーネスの製造

2017年01月17日

加工・検査・技術

 ワイヤーハーネス製造業には様々な実務がありますが、製造の実務はライン部門の中でも最も重要です。製造業においては顧客への付加価値の源泉は主に製造にあります。

 製造の実務は大きく分けて各種製造工程の構築や工程の遂行をする加工、製品の品質を維持・向上させるための品質管理、より効率的で安全かつ適正な製造を目指すための改善活動に分けられます。加工と品質管理と改善活動の実務には密接な関係があります。品質を維持向上させるため品質管理が製造システムやチェック体制を整え、加工がその仕組みを履行し、改善活動によって更なる品質や効率の向上を図ります。この3つの実務が正常に機能してこそ、製造の価値が維持・向上し続けるのです。
 企業規模が大きくなると、品質管理や改善活動などの実務を製造から切り離し、専任部門化する場合があります。また、品質管理と加工の実務は互いに圧力を受けないように品質管理部、製造部など部門を分けているケースもあります。

 日本の製造業は昭和の中期頃から工場の様々な作業や工程を機械や情報システムを用いて自動化するFA(Factory Automation、工場自動化)が進み、様々な機器やシステムが製造現場に導入されてきました。しかし、ワイヤーハーネスの製造は電線の曲がる癖を感じ取ったり、手の感覚で調整する作業が多くみられ、多品種小ロット生産も多く全自動化が他の製造業に比較して進んでいないのが大きな特徴です。そのため、人海戦術による人手をかけての加工が主流となります。しかし、様々な製造工程多くの作業の半自動化(人が電線など加工対象を1つ毎に機械にセットし、スイッチなどを押して機械が加工する)が進んでおり、機械設備投資により効率が上昇しますので装置産業の側面もあります。機械設備は1台につき数十万~数百万円程度です。
 
 ワイヤーハーネスの製造職場は加工や作業に力がそこまで必要なく、男性よりも女性が向いている軽作業や手作業が多いため女性人員の比率が高い傾向にあります。雇用形態は正社員、パートタイム、派遣が主流です。また、軽作業や手作業は自宅に持ち帰って作業することも可能なため内職が広くおこなわれてきました。
 製造の作業者は女性比率が高くパートタイムが主流ですが、課長やマネージャーなどの管理職になると男性比率が高くなり正社員が増加します。しかし、時代の流れとともに女性の正社員や管理職も増加してきています。