売上原価

2017年05月01日

運営・経営

 売上高から売上原価を差し引くと売上総利益(粗利)が計算できます。ここでは売上原価についてみていきましょう。

 売上は本業による収益ですが、売上原価は、売上に直接対応する費用を意味します。部品の仕入や製作費用がこれに該当しますが、ここでポイントとなるのは売上原価は売上に”直接”対応するということです。

 説明を簡素にするため、商品を仕入れて販売しているケースで考えてみます。100個の商品を1000万円で仕入、このうち70個を売り上げたとします。1個たり10万円で仕入れたことになりますから、今回売り上げた分の70個に、1個当たり仕入れ単価10万円を掛け算した、700万円が売上原価の仕入れ代金となります。
 なお、売れ残った商品30個(300万円)は、会計期間の最後に残った会社の財産ですから、商品として貸借対照表に記載されます。

 期首に在庫が40個(400万円分)がある場合を考えてみます。期中に100個仕入れ、期末に30個の在庫残がある場合の売上原価はいくらでしょうか?
 売上原価の計算は、次の算式で求められます。

 売上原価=期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高

 この算式は、期首にあった商品と当期仕入を加えれば当期に会社に入ってきた商品総量が算出され、そこから期末に残った商品を差し引けば、売れた商品の分になることを表しています。

 このケースでは、期首商品40個(400万円)+当期仕入100個(1000万円)-期末商品30個(300万円)=売上原価110個(1,100万円)と簡単に計算できるのです。

 この算式では期末商品を実際より多く示すと、売上原価が小さくなり、利益が大きくなります。架空在庫を使った粉飾の代表例です。

 ワイヤーハーネス製造の場合は、売上原価に”直接製造に関わる”作業員の人件費、外注費、設備費などを計上する場合もあります。どのような形状の仕方をするのか、実際の状況を踏まえて検討が必要です。

参照:「ゼロからわかる!決算書」 著者:石島洋一、石島慎二朗 PHP研究所