中核人材の採用活動

2017年09月04日

運営・経営

 即戦力となる人材から会社の未来を担う新人まで、ひとえに「採用」といっても幅が広いものです。最終的な目標は会社にとって必要な人材を採用することですから、各部責任者の意向をしっかりと把握した上で行いましょう。

 ワイヤーハーネスを製造する企業で採用活動といえば、日常的にはパートタイムや内職の作業者の募集がほとんどです。ここではそのような場合の採用ではなく、管理者や中核人材といった重要人物の採用に関してご紹介します。管理者や中核人材の採用は作業者の採用よりも難易度が高く、人事の仕事の中でも”最高クラス”に重要な仕事です。

採用活動の流れ

・採用の計画
 管理者や中核人材は企業活動を大きく左右させる重要な人物です。製造、技術、営業、経営などどのような業種でどのようなポジション/役職の人材が必要か入念に検討します。例えば将来の製造部の部長候補となる課長クラスの人材などが挙げられます。

 またどのような経験を持つ人物像か概要を決めます。例えば製造の中核人材であれば、ワイヤーハーネス製造において管理者の経験がある、またワイヤーハーネスの製造以外でも製造部門の管理者としての経験があり、かつ電気関連の知識があって職務経歴が長いといったような具合です。管理者であれば部下を多数持つためどのような人柄であるかも重要となります。

・募集の開始
 必要な人材のポジションや人物像が決まったら、次に雇用条件を決めます。勤務時間、賃金、福利厚生などが主だった項目になります。中核人材であれば雇用形態は正社員が主流です。

 募集の対象を明確にしたら、ハローワークや求人広告媒体を利用して求人を出します。掲載媒体ごとにフォーマットがあるので、それにしたがって募集内容を制作します。新聞折り込みや情報誌、インターネット媒体など民間の求人広告媒体は有料です。費用対効果を考慮しましょう。

なお、以下のような法的規制もありますので、事前によく把握して法に抵触しないようにしましょう。

◆雇用対策法:年齢制限を設けてはならない(合理的な理由がある場合は除く)
◆男女雇用機会均等法:性別で雇用を分けない
◆職業安定法:虚偽の求人広告の防止

 ハローワークや民間の求人広告媒体を利用すると求人を行っている事が周囲に知られてしまいます。中核人材の採用となると内密に行った方が何かと得策です。従業員の間に有りもしない噂が立ったり、取引先からも不要な詮索をされてしまう可能性もあります。

 シークレット(内密)に採用活動を行うには人材紹介サービスを利用します。人材紹介を利用すると希望する人材を探して紹介してもらうことができます。適合した人材を紹介してもらえる(マッチング)能力は人材紹介会社の強みや担当者によって変化します。また、会社の状況やどのような人物が必要かをしっかりと人材紹介会社に伝えていないとマッチングが上手くいきませんので注意しましょう。

 人材紹介サービスを利用して人材を獲得した場合、人材紹介会社に手数料を支払います。手数料は想定年収の30%~35%が相場です。費用は掛かりますが、良い中核人材を獲得するには費用を惜しんではなりません。中核人材は会社の行く末を左右するのです。

 またシークレット(内密)な採用活動には知人や取引関係がある人に個別に話を持ち掛ける、俗に言う「引き抜き」も挙げられます。引き抜きの場合は事前に人柄や能力を理解している場合が多く、マッチングは良い傾向にあります。ただし、引き抜き後の周囲への影響や取引への影響など慎重な調整が必要となります。

・選考と採用判定
 募集に対して応募があった場合は書類選考、1次面接と筆記試験、実技試験、2次面接のように段階を設けて採用判定をします。中核人材の採用は慎重にすべきです。

 1次面接は少人数で、採用計画で決めた求める人材像かどうかを確認します。1次面接では筆記試験も用意しましょう。簡単な計算問題や記述問題を解いてもらうと学力レベルや考える能力がわかります。また、実技試験を実施すれば製造に対する素養がわかります。

 2次面接は入社したら関わる幹部を交えて行います。これから一緒に仕事をしていく可能性がある幹部が納得する人材かどうか見極めます。

 面接など採用判定で確認する内容は抜け漏れが無いように、あらかじめ決定してチェックリストを作っておきましょう。

 中核人材の採用では募集してきた人材は逆に自社をどのような会社か良く見ています。お互いの合意がなければ入社には至りません。自社の魅力や募集しているポジションの将来性など、面接では逆に自社の事を相手に伝える意識も重要です。

・採用
 面接などの採用判定で合格した人材に「是非入社して欲しい」との旨を伝えます。お互いの合意が得られるようであれば就業開始日など調整して、雇用契約書を用意し契約を結びます。
 中核人材の採用では、採用された人材が他の会社で中核人材として働いているケースも多く、入社まで引継など時間がかかることがあります。入社日は慎重に調整しましょう。

 中核人材の採用は企業活動において本当に重要な業務です。なかなか良い人材が獲得できない場合は自社のアピール方法を見直したり採用方法を工夫したり、試行錯誤しましょう。何度も言いますが中核人材の採用は会社の行く末を左右する重要な事項なのです。諦めてはいけません。