回転率の経営分析

2017年04月26日

運営・経営

損益計算書では会社の儲けを示す利益がポイントとなっており、利益は「大きいほど良い」ということは間違いないところです。

 一方、貸借対照表のうち資産は利益と同じように大きいほど良いといえるでしょうか?
 答えは、否です。大きくなれば良い、というものではありません。資産で重要なのは、”資産が効率的に使われているか”なのです。

 そして、これを表す指標が”回転率”です。基本的に、回転率は高いほど喜ばれます。風力発電の風車をイメージしてみましょう。回転数が多ければ多いほど、生み出す電力も大きいですよね。

 回転率は、次のようになります。

 総資本回転率=売上高÷総資本(単位:回転)
 総資本=資産(貸借対照表B/Sの左側)=負債+純資産(貸借対照表B/Sの右側)

 例えば、A社が売上高1000万円、総資本500万円、B社が売上高1000万円、総資本2000万円とすると、総資本回転率はA社が2回転、B社が0.5回転と計算されます。回転率はA社の方が大きくなっており、総資本を効率的に使っていることが示されているわけです。

 総資本回転率は、売上高を総資本で割り算します。ここで、総資本に着目するのです。総資本は資産総額のことであり、総資産と同じ意味でした。そして、総資産は売上債権、棚卸資産、固定資産などから構成されます。それぞれを分母とすることで、各回転率を計算できます。一般的に分析に使われるのは以下の3つです。

 売上債権回転率=売上高÷売上債権 (代金回収の効率を示す。)

 棚卸資産回転率=売上高÷棚卸資産 (製品販売の効率を示す。)

 固定資産回転率=売上高÷固定資産 (固定資産が有効に使われているかを示す。)

参照:「ゼロからわかる!決算書」 著者:石島洋一、石島慎二朗 PHP研究所