派遣作業者の活用
2017年09月04日
ワイヤーハーネスの製造はFA機械による全自動化が他の製造業に比較して進んでいないのが大きな特徴です。そのため、人海戦術による人手をかけての加工が主流となり製造には多くの作業者を必要とします。
作業者は社員やパートタイムのように直接雇用することも出来ますが、人材派遣会社から人材を派遣してもらうことも可能です。派遣にはメリットとデメリットがあります。ここでは派遣作業者の活用について紹介します。
人材派遣活用のメリット
まず1つ目のメリットは、繁忙期など人員が必要な時に必要な人員だけ派遣してもらえることです。ワイヤーハーネスの製造では顧客の状況により受注の季節変動が起きたり突発的な案件が発生したり、年間を通して業務の繁忙期と閑散期が起こりえます。
繁忙期に合わせて直接雇用を増加させると人員を抱えるための固定費が増大します。その状態で繁忙期が過ぎて仕事が少なくなってしまうと、売上は減少するのに固定費が増大したままになってしまい利益を圧迫します。
作業員を派遣してもらうと直接雇用ではないので外注費となり、固定費は変わらず繁忙期に外注費が増えることになります。繁忙期は仕事が多いため売上が増大しますので、外注費が増大しても経営を圧迫するわけではありません。繁忙期のみ期間を定めて作業員を派遣してもらえば忙しい時期を経営を圧迫せずに乗り切ることができます。
2つ目のメリットは、派遣作業員の採用や労務管理などは人材派遣会社が担当してくれますので、そういった仕事やコストの負担が無い事です。採用、選考、入社手続き、労務管理、保険業務など直接雇用で人を雇う場合はいろいろな業務が発生します。
3つ目のメリットは、直接雇用で募集しても人が集まらない場合でも、人材派遣会社に依頼すると人員が確保できることがあります。人材派遣会社にも依りますが、人材派遣会社には様々な人材が登録されていますので、自社で応募をするよりも人材が豊富です。人員に困ったときに助かります。
人材派遣活用のデメリット
1つ目のデメリットは長く派遣で作業をしてもらうほどコストが高くなってしまうことです。人材派遣会社には概ね「派遣されてきた人の報酬+労務などの管理にかかる費用+人材派遣会社の運営費用+人材派遣会社の利益」の合計を支払うことになります。例えば時給換算で直接雇用で時給750~900円かかるところを、人材派遣会社に人材を派遣してもらうと時間当たり千数百円を支払うといったこ具合になります。
労務などの管理にかかる費用は採用から考えると初めは大きいですが、落ち着いてくると低くなります。また、派遣をお願いしているため人材派遣会社の運営費用と人材派遣会社の利益が必ず含まれるので支払額は大きくなります。
トータルで考えると状況により直接雇用より派遣にメリットがある場合もあり、コストについては一概に評価するのが難しいです。しかし、人材派遣会社に支払う時間当たりの単価が高いのは事実です。
2つ目のデメリットは派遣されてきた作業者には難しい加工や作業を依頼しにくい点です。直接雇用の従業員は在籍期間が長く、社内ルールも熟知して技術力が高い傾向があります。逆に派遣されてきた作業者はワイヤーハーネスの作業経験が無い又は浅く、簡単な作業を担当してもらうことになります。仮に慣れてきて難しい作業が出来るようになっても、ある程度の期間で契約が終了してしまいます。雇用期間が限られているため社内技術の蓄積や発展にも貢献しにくいのが派遣作業者の特徴です。
3つ目のデメリットは愛社精神や忠誠心といったような会社の風土に馴染み共に会社を発展させようという意識を期待できない点です。雇用期間があり長年勤める前提では無いため、当然です。
4つ目のデメリットはトラブルや問題が発生したときに、自社から人材派遣会社を通して派遣作業者と対話しなければいけないので、コミュニケーションが面倒となる点です。問題やトラブルを直接解決することが出来ず、対応に時間を要します。
以上のように、人材派遣会社から作業者を派遣してもらうことにはメリットとデメリットがあります。どのように活用すれば自社がおかれている状況にとってメリットが大きいのか検討して派遣作業者を活用しましょう。状況によって取るべき行動は変わってきます。