ワイヤーハーネス業界と市場シェア
2017年03月31日
ワイヤーハーネスの用途は非常に幅広く自動車、電車、航空機、FA機器、家電、OA機器、医療、通信、遊具など様々な機械機器の構成部品として生産されています。用途が広く複数の業界にわたって使用されているため、ワイヤーハーネス全体の市場規模や各社のシェアは把握するのが困難です。しかし、その中でも世界経済全体に大きな影響を及ぼす巨大産業である自動車産業用のワイヤーハーネスに関しては市場シェアが整理されています。
自動車産業用のワイヤーハーネス市場規模は世界全体で約5兆7000億円程度です。そのうち日本市場は約7200億円、中国市場は約1兆2000億円、NAFTA(アメリカ合衆国、カナダ、メキシコ)が約1兆4000億円、EU市場は約1兆4000億円程度となっています。日本、NAFTA(アメリカ合衆国、カナダ、メキシコ)、EUのような先進国では自動車産業用のワイヤーハーネス市場規模は緩やかに縮小し、中国など経済成長が著しい地域では市場規模は年率数%で増大する予想です。世界全体としての市場規模は、ほぼ変わらないか緩やかに減少する予想となっています。
世界全体として自動車の車両への電装品搭載数量は機能拡充に伴い増加しており、電装品同士を繋ぐ役割を持つワイヤーハーネスの搭載量も増加する傾向にあります。自動車は燃費向上のため重量を低減した設計が求められています。自動車の重量のなかでワイヤーハーネスの重量が占めている割合は非常に高いため、必然的にワイヤーハーネスには軽量化が求められます。電線素材の銅からアルミへの代替、電装品や回路の統合化やワイヤレス化など様々な研究開発が行われていますが、その成果を踏まえてもワイヤーハーネスの自動車搭載量は増加しているのが現状です。
ワイヤーハーネスの国内大手製造メーカとして矢崎総業、住友電気工業、古川電気工業、フジクラ、ASTIの他、外資系のリアコーポレーション(米)が挙げられます。2016年の自動車部品としてのワイヤーハーネスの日本国内市場シェアは矢崎総業がトップで約50%、第2位が住友電気工業で約30%、第3位が古河電気工業で約10%、続いてフジクラ、リアコーポレーション、ASTIが各々数%です。市場シェアの具体的な数値は変動していますが、特に上位に関して概ね順位はあまり変化していません。矢崎総業と住友電気工業は日本のみならず世界的にもトップクラスのワイヤーハーネス大手製造メーカで、2015年の売上規模では矢崎総業が世界1位でシェアは約30%、住友電気工業が2位でシェアは約30%弱となっています。3位はゼネラルモーターズから分社化されたDelphi Corporation(アメリカ合衆国)でシェアは約20%、4位がLEONI(ドイツ)でシェアは約8%、5位がリアコーポレーション(米)でシェアが約6%です。
世界トップの矢崎総業の2015年度連結売上高は1兆7404億円で、地域別セグメント連結売上高比率は日本34%、米州31%、豪亜18%、欧州17%です。
国内シェア1位の矢崎総業は国内の自動車メーカのほぼ全てにワイヤーハーネスを供給し、特にトヨタ自動車や三菱自動車、いすゞ自動車、日野自動車、三菱ふそう、UDトラックスに対しては約60%を超える高いシェアを獲得しています。第2位の住友電気工業は日産自動車やダイハツに対して約50%を超えるシェアを獲得しており、ホンダやマツダ、三菱自動車、日野自動車、三菱ふそう、UDトラックスに関しても30%を超える高いシェアを誇ります。古河電気工業はダイハツの約50%、フジクラは富士重工に対して50%近いシェアを獲得しています。