ワイヤーハーネスと人事の役割・仕事

2017年03月31日

運営・経営

ワイヤーハーネスの製造をしている企業はその多くが中小・零細企業です。大企業となるほど人事部があり人事の役割が認識され機能していますが、中小・零細企業では人事の役割に対する理解が不十分な傾向があり十分に機能していません。人事の目的は、経営資源の最大のものである人材を、必要な人数を必要な時に確保して、最大限に活かせるようにすることです。経営の資源は「ヒト」、「モノ」、「カネ」そして情報と言われています。そのうちの「ヒト」という非常に重要な部分を担うのが人事であり、人事の仕事が疎かであると、将来の経営に大きなマイナスの影響を及ぼしてしまいます。

人事の目的を達成するために、人事には2つの役割があります。

1:企業の経営方針に見合った人事制度と「希望する人材像」を作る

企業の経営方針というのはビジョン(会社全体の未来像)である「どのような企業になりたいか」、ミッション(使命)である「ビジョンをどのようにして実現するか」、そしてバリュー(あり方、姿勢)である「社内で共有したい価値観や意識」の3つがあります。人事制度というのは、この企業の経営方針に見合う人として「希望する人材像」を決定して、人材を獲得し育てる仕組みです。

2:人事管理を企業の経営戦略に基づいて行う

人事管理とは企業経営のために「人的資源である労働者」を最適最大限に活用することを目的とした諸施策、諸機能のことをいいます。
企業の経営戦略というのは、企業の経営方針を達成するための道筋になります。例えば、企業がもし経営戦略として「業界においてトップの企業になる」というものを決定した場合には、人事管理の業界においてもトップの企業になるものが必要になってきます。人事というのは、非常に密接に経営と関係しているため、経営戦略や経営方針については十分に把握しておく必要があります。

ワイヤーハーネスの製造をしている企業の多くは経営方針、ビジョン、ミッション、バリュー、経営戦略が決定されていない、または形骸化してしまっているケースが多く、人事制度や人事管理の重要性に対する認識が甘い傾向があります。人事を考える事は経営を考える事からはじまると言っても過言ではありません。
 
人事の仕事内容は非常に幅が広いです。転職や就職の経験がある場合には、人事の仕事としては雇用をイメージしやすいでしょう。しかし、人事は雇用の業務に限定されません。ここでは、人事の仕事内容についてご紹介しましょう。

人事の仕事内容は、大きく分類すると5つに分けられます。

・人事企画
人事は、会社で経営の目標を成し遂げるために、適切な人員の配置や部門の構成、雇用計画を検討します。最大限に能力を社員が発揮できるようにするために、会社の仕組みを作ります。

・雇用関係
人事は、雇用計画をベースにして、必要な人材を雇用するために活動します。ハローワークや転職サイト、求人広告を通じて採用の応募を出します。最近ではSNSを利用したり、オリジナルの雇用イベントを自分の会社で行なったりするなど、雇用する方法も多様化してきています。人事は、このようなことも企画して運営します。

・人材の研修・教育関係
人事は、人材の教育・研修関係の仕事を行ないます。研修と言っても、人事が全て行なう場合はあまりなく、外部の業者にスキルアップ・マナー研修などは委託する場合も多くあります。しかし、外部の業者に委託する場合でも、人事はどのような研修が自分の会社の社員に必要かを考えてコーディネートします。ワイヤーハーネスの製造においては、製造技術の研修が必須です。

・社員の評価関係
社員が高いモチベーションを持って仕事をし続けるために、人事は「目標管理制度」を構築したり、「評価制度」というきちんと成果を出した人が評価されるためのものを構築したり、「報酬制度」という成果を還元するものなどを構築したりします。

・労務関係
人事の労務関係の仕事の主なものとしては、社会保険の手続き、給与計算、勤怠管理、健康診断、安全衛生管理や福利厚生業務などがあります。
データや書類を扱う場合が多くあり、それほど派手なところはありませんが、いずれの仕事も社員が心配なく仕事をするために大切なことのみです。

また、職場でのうつ病や過労死が発生することが最近は社会問題化してきており、メンタルヘルスの対策についても着目されています。
人事の仕事内容としては、このようなことが主なものです。

会社の規模によっては、人事の仕事ではなく、管理部門の総務などの仕事を行なうこともあります。また、会社によって1人の人事の担当者の仕事内容も違ってきます。というのも1つの仕事にかかる手間が社員数によって違ってくるからです。規模の小さな会社の場合は、雇用から労務・給与計算までの全てを人事の1人の担当者のみで行うこともあり、しかも経理や広報、営業、事務などの仕事を一緒に行うこともあります。逆に、規模が比較的大きな会社の場合には、雇用のみでも「中途雇用専任」「新卒雇用専任」などというように細かく役割が分かれていることもあります。

ワイヤーハーネスの製造をしている企業の多くは雇用、教育、人事制度の構築・運用に対しての取り組みが疎かな傾向があり、人事は改善の余地が非常に大きい分野です。人事の役割が果たせるような運営体制や組織ができあがっているか、自社を見直しましょう。また、人事の業務を改善するには、既述したようにその源流となる経営方針が確立されていなければなりません。確立すべき順位を明確に意識し、自社を改善していきましょう。