ワイヤーハーネスを調達するには
2017年06月19日
ワイヤーハーネスが必要となったとき、ワイヤーハーネスはどのように調達すればよいのでしょうか。ワイヤーハーネスは車や電気製品の試作や量産、電気設備やインフラにも使用されるため様々な場面で必要となります。ワイヤーハーネスはワイヤーハーネスを製造している企業から調達することができます。ここではワイヤーハーネスを調達する方法を説明します。
1:必要なワイヤーハーネスの仕様を決定する
必要なワイヤーハーネスの構成部品が決まっていないと見積や製作を進めることが出来ません。ワイヤーハーネスの構成部品は主に端子、コネクタ、電線、外装品です。
ワイヤーハーネスは各種機器間を電気的に接続するため、まず各種機器のインターフェース(接続部)に接合・勘合するような端子やコネクタが何であるか選定する必要があります。
端子やコネクタが決まったらそれらを結ぶ電線やケーブルを選定し、どのように配線するか決めていきます。各種機器間の距離より電線やケーブルの長さが決まります。また、ワイヤーハーネスが複数の機器間に接続されるような場合は、電線・ケーブルの分岐点の位置や結束位置などの情報も必要です。
次にチューブ、テープ、結束バンド、キャップ、コアや銘板など外装品を選定します。外装品の寸法や取付位置は製作に必要な情報です。また銘板は印字内容を決定します。
これらの構成部品は、使用環境や電気的に必要なスペック、調達コストに応じて選定は各社各様です。ワイヤーハーネスの設計は業界・各社によって様々な基準があります。
以上の仕様が決定し図面やポンチ絵に情報を纏めれば、ワイヤーハーネスの見積依頼や製作依頼が可能となります。図面にはさらに細かく以下の情報が網羅されていると見積や製作がスムーズです。
<構成部品に関する情報>
・電線の型番、メーカ、切断長、シース剥きの長さ、被覆剥きの長さ
・端子やコネクタ、外装品の型番、メーカ、使用数量
<製作に関する情報>
・概略図や配線、結線の位置や寸法に関する情報
・チューブや結束バンドなど外装品の取り付け位置や寸法
・許容される公差
・銘板の印字内容と素材
・その他、特筆すべき事項
<管理に必要な情報>
・図面番号、図歴、改定履歴、ページ番号など図面を特定する情報
・作成者、承認者、作成日
なお、上記の内容が全て図面やポンチ絵に記載されていなくても、概算で見積作業を行うことが可能です。もしも仕様に抜けがあったとしても、見積依頼をすれば質問が返ってきますので、質疑応答しながら仕様を固めていくことになります。おおよその仕様が決定したら見積依頼をしましょう。また、仕様の決定に迷うようであれば、ワイヤーハーネスを製造する企業に相談すると仕様の提案をもらえる場合もあります。
2:ワイヤーハーネスの見積を依頼する
ワイヤーハーネスを製造している企業に見積を依頼します。見積依頼ではまず前項で決定した必要なワイヤーハーネスの仕様、図面が必要になります。仕様によっては調達ルートや設備の問題で、調達や製作が出来ない場合があるためです。
次に数量、希望納期、納入場所が必要な情報となります。数量については製作ロット(1ロット200本、月に1000本など)、今後の計画(月に100本が継続、2年目で終了など)の情報があるとより正確な見積を作成することができます。数量が少ない、計画性が乏しい見積依頼は製造側としてはリスクが高く、安価に抑えるのも難しくなります。
また、部材や設備を支給するなど特殊な条件がある場合も見積依頼時に相手に伝えましょう。見積依頼はより情報が揃っているほどスムーズで、双方の理解における齟齬も低減することができます。
見積の依頼方法はFAXまたは電子メールが主流です。取引先によっては電話にて口頭で見積を依頼することが出来るケースはありますが、見積依頼と回答の記録が残らないためトラブルの原因になりかねません。口頭で簡易的に確認した場合でも、後にFAXまたは電子メールで見積依頼の証拠を残しましょう。
見積は複数企業に依頼すると、見積結果を比較検討してより良い条件を選択することができます。各社によって調達や製造面での特徴は様々です。より良い調達のため、複数企業に見積依頼をしましょう。
3:ワイヤーハーネスの見積結果を精査する
各社から得た見積結果を検討します。複数の企業から見積結果を得ていると比較ができるため、より良い検討ができます。
見積検討は主に製作可能かどうか、そして納期と価格です。ワイヤーハーネスの製造は各社によって特殊な付加価値を付けることが難しいため、納期と価格が重要な比較検討題材となることが一般的です。品質については見積結果から検討が難しいため、取引実績や、工場視察・審査などで確認します。
見積結果に関しては価格や納期面など融通が利く場合もありますので、条件が多少合わないなど調整が必要な場合は交渉をしましょう。より良い条件の見積が選定できたら、次は発注です。
4:ワイヤーハーネスを発注する
見積結果より発注をしたい企業が決定したら、相手先にその意向を伝えて具体的に調達するために発注方法、実際の納期、納入方法などを調整しながら確認していきます。自社の発注方法や納入方法が確立されている場合は、その方法に従ってもらえるかどうか確認します。よほど特殊なケースでなければ、応じてくれます。お互いの折り合いがつき、なるべく双方にとって効率的な方法を検討しましょう。
各種調整が済んだら、双方が合意した方法で発注をします。
5:ワイヤーハーネスが納入される
問題が無ければ納期通りに指定場所へワイヤーハーネスが納入されます。初回の発注の場合は、納期通りに納入される予定であるか事前に確認を取っておいた方が無難です。また、初回の納入は仕様通りのワイヤーハーネスが製作されて納入されているか、納入方法は適切か確認しましょう。
初回は情報伝達不足や理解齟齬や思い込みなどで想定していた仕様と若干違う製品が納入される可能性があります。入念にチェックし、問題があればフィードバックをして今後のより良い調達に向けて双方で活動しましょう。