棚卸資産と在庫
2017年05月17日
そもそも在庫とは、営業の過程で使われる資産のことです。工場にある製品が在庫の一種であることはもちろんですが、それだけではありません。営業の過程で”使う”ということは、製品の生産過程も含まれるわけです。
ワイヤーハーネスの生産には、まずケーブルやコネクタなどの部材を購入します。部材のすべてが使われるわけではありませんから、未使用の部材は会社財産として、貸借対照表に「原材料」と記入されます。また、製造過程は長いですから、完成前の加工中(仕掛中)の製品もあるわけです。これを「仕掛品(しかかりひん)」といいます。なお、生産過程で生産途中のものを仕掛品といいますが、一部の工程が完了しており外部に販売可能なものは、「半製品」と呼ばれます。
このように、在庫には製品の他、原材料、仕掛品や半製品などの項目もあるわけです。これら在庫のことを「棚卸資産(たなおろししさん)」といいます。
損益計算書で出てくる売上原価の計算は、次の算式で求められます。
売上原価=期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高
期首と期末の棚卸資産は損益計算書の売上原価に影響し、利益にも影響します。ワイヤーハーネスの主な部材は電線や細かな端子、コネクタなどです。電線や端子は巻いた状態で保管し、コネクタなどは細かい部品が多く、正確な数量の測定は難しい場合もあります。また、仕掛品をどうやって把握するのかも難しい課題です。
自社に適正な棚卸資産の管理方法を確立し、正確な棚卸をおこないましょう。
参照:「ゼロからわかる!決算書」 著者:石島洋一、石島慎二朗 PHP研究所