ワイヤーハーネスと営業の役割と仕事

2017年04月17日

運営・経営

営業の役割は「売上と利益を上げる」ことであり、営業は企業の業績に非常に大きく影響する仕事です。製造業では製造はもちろん大切な役割を担っていますが、製造が強くても営業が弱いと仕事を獲得することが出来ません。決して景気が良いとは言えないこのご時世で、業績を上げていくにはそれ相応の営業力が不可欠となります。

経済成長期は「作れば売れる」と言われていた時代で顧客の生産拡大や増産が相次ぎ、営業が積極的に仕事を取ってこなくても仕事は増えていました。ワイヤーハーネスの製造は下請け・外注の文化も強くワイヤーハーネスを必要とするメーカは次々に外注先を増やし、時には機械設備や部品を貸与して育成していきました。この頃の営業の仕事は受注した製品を顧客の要求通りに納入し、適正な関係を顧客と形成して、また次の案件に繋げるといった内容が主でした。忙しくて仕事がたくさん入ってくる時代だったのです。

ところが国際的な競争が激しくなり顧客の生産が海外に移転し、少子高齢化で国内需要も低迷し景気に陰りが生じてくると、仕事が無くなってしまい以前の営業スタイルでは通用しなくなってきました。仕事を取ってくる営業力が重要となってきたのです。業績を伸ばしている企業はもちろん営業力が強い傾向にあります。

それでは営業の仕事を紹介していきます。

営業の役割である「売上と利益を上げる」を達成するには大きく分けて「既存顧客のシェア拡大」、「新規顧客の開拓」において成果を出すことが求められます。また利益を考慮して「既存受注の選別」も重要な仕事です。

「既存顧客のシェア拡大」

既に取引がある顧客に複数の企業がワイヤーハーネスを提供している場合は、シェアの拡大を狙える可能性があります。例えば顧客であるX社が年間1000万円のワイヤーハーネスを必要とする場合、A社が500万円、B社が300万円、自社が200万円だとすると自社のシェアは20%です。この場合は自社のシェアを伸ばして売上を上げる余地があります。

どうすれば自社のシェアを上げることが出来るか考え、実際にシェアを上げるのが営業の仕事です。シェアを上げるには受注を通して顧客と関係を作り上げながら、競合の状態や顧客ニーズを探り、自社で出来る範囲の良い提案をしていく他にありません。

逆に自社がほぼ100%のシェアを占めている場合は営業に注力しても、売上の増加が見込めません。時には営業にかけるているウエイトを軽くしましょう。

顧客が増産していく場合はもしシェアは変わらずとも売上は伸びていきますが、現状は増産どころか減産の傾向が強いため期待してはいけません。何もしないと売り上げは減産により下がっていきます。顧客の状況に左右されないよう営業戦略を考えましょう。

「新規顧客の開拓」

新しく取引が開始出来そうな顧客と接点を持ち、新たな顧客を創造し売上を上げます。まずは商談が進みやすい紹介を考えます。紹介は既存顧客、仕入先、同業者が有力な候補となりますので、聞いてみましょう。また、社員が個人的に持っている人脈から紹介を得れる可能性もあります。特に中途採用で以前メーカの担当者と関係がある場合は有力です。人脈に乏しい場合には地域の会や経営者の会、勉強会などに参加して新たな人脈を開拓しましょう。

紹介が難しい場合は、ワイヤーハーネスの需要がありそうな企業へ飛び込み営業やテレアポを考えます。これらの方法はニーズもわからない知らない人にいきなり話しかけるため、紹介より商談へ繋がる可能性は低くなります。行政の企業データベースサイトや企業ホームページからワイヤーハーネスの需要がありそうな企業を調べコンタクトします。以前問合せがあり失注した企業に再コンタクトしたり、過去に名刺交換した人物に再コンタクトする方法もあります。地道な営業活動となり、精神的・体力的にも大変ですが粘り強く行動しましょう。

ホームページを持っていない場合はホームページを作成すると問合せをもらえる可能性が高まります。ただホームページを作るのではなく、検索されやすいようにホームページを作りこむと問合せは増加します。ホームページ制作は専門知識もいるため製造業のホームページ製作に成功事例がある企業に委託しましょう。

また、営業代行業者や営業コンサルタント会社も新規開拓のためのサービスをおこなっています。サービスの質や費用対効果が事前に見分けにくいため、評価が難しいという特徴があります。

新規顧客の開拓ではどのような顧客にアプローチしていくか営業戦略を考えましょう。
 

既存受注の選別

受注の中には様々な理由で割に合わないものもあります。時には案件を見返して、本当に継続すべきか考えましょう。いざ見返してみると昔からずっと受けている案件に不採算な受注が含まれていることがあります。不採算な案件は事情を話して顧客と値上げや辞退を相談します。顧客には迷惑な話となってしまいますが、事業の継続を考えるとやむを得ません。

以上、「売上と利益を上げる」ために重要なポイントを説明してきましたが、ワイヤーハーネスを製造している企業は中小・零細企業が多く、ある程度の規模でないと専任の営業担当がいないこともあります。何故なら営業担当を雇用するにはそれなりのコストが掛かってしまうからです。コストを押さえつつ営業力を上げるには、ホームページを活用した集客が効果的です。

なお、「既存顧客のシェア拡大」や「新規顧客の開拓」で新しい案件を獲得したら、まずは見積作業をします。見積内容が顧客に満足してもらえた場合、晴れて成約となります。契約の締結や取引方法の調整をおこなって、受注から出荷の流れを整えます。アフターフォローや何かトラブルが起きた時の対応は基本的に営業が窓口となります。

とにかく初めの「案件獲得と見積が最も難しく重要な営業の仕事」で、まさに営業の腕の見せ所です。これらをクリアしなければ絶対に受注につながりませんし、その後の仕事はしっかりと対応していけば難易度はそれほど高くありません。

「新規顧客の開拓」で取引を開始できたらその顧客は「既存顧客のシェア拡大」の対象になります。受注した製品を顧客の要求通りに納入して信頼を獲得し、シェア拡大を目指しましょう。

最後に、これらの営業の仕事をしていくためには自社の強みや、どのような顧客をターゲットとするかといった営業戦略を明白にしておかなければなりません。そして営業戦略をしっかり考えるにはその源流となる経営戦略が確立されているべきです。どういった企業を目指し、どういった顧客のニーズを満たしていくのか考えましょう。