ワイヤーハーネスの構成部品

2017年03月31日

加工・検査・技術

 ワイヤーハーネスの主な構成部品は電線・ケーブル、端子、コネクタ、外装品です。各種の部品は用途や機能により、非常に多くの分類や種類がありますが本編では主要4部品の概要を説明します。

・電線・ケーブル

電線・ケーブルは電力と電気信号を伝達するワイヤーハーネスの重要な構成部品です。
電線は電気を伝導する部品で、導体を絶縁体である保護被膜が覆っている構造をしています。導体には主に銅を使用しますが、軽量化を目的にアルミも使用されます。導体は1本の導線、または素線と言われる細い導線を複数本撚り合わせた撚り線です。導体は導体部の酸化を防止や半田付けの結線をし易くする目的でスズ、ニッケル、銀などでメッキされる場合もあります。

 ケーブルは電線が更にシースと呼ばれる保護被膜で覆われている部品です。ケーブルは単一の電線で構成される単線と複数の電線で構成されている多芯線に分類できます。ケーブルのシース内部には電線の外径や円形を保つため、または引張強さなど強度を補強するために介在物が入っている場合があります。また、ノイズと呼ばれる周囲からの電気的な影響を遮断するために、シールドと呼ばれる銅、アルミ、鉄編組やテープがシース直下に内臓されている場合もあります。

・端子
 端子はワイヤーハーネスの接続部となる構成部品です。端子とコネクタは類義語ですが、圧着や半田付けして芯線と結線する部品を端子と表現して以下説明します。端子はターミナルやコンタクトとも呼ばれています。端子の主要素材は銅で、メッキされた端子は金、銀、錫、ニッケル、或いはそれらの合金メッキが施されています。

 端子は圧着端子が主流です。圧着とは端子と電線の接続部分に物理的な圧力を加え成形し、電線と端子を密着させて電気的に接続する技術で、圧着結線用の端子を圧着端子と呼びます。圧着端子は形状と圧着方法からオープンバレル系とクローズドバレル系に分類されます。オープンバレル系の端子は差し手、受け手の形状からオス(Male、プラグ)、メス(Female、レセプタクル、ジャック)に分類されます。クローズドバレル系の端子で代表的な端子は丸型圧着端子で、その他には棒型、ブレード型、先開型(Y型)、フック型などがあります。

 圧着端子の他に、円筒状の端子に芯線を差し込み半田で結線したり、端子に丸い穴が開いていて芯線を絡げて半田結線をする半田用の端子があります。

・コネクタ
 コネクタはワイヤーハーネスの接続部となる構成部品です。コネクタと端子は類義語ですが、芯線を圧着した端子を挿入したり半田付けによって結線され、差し込むだけで勘合相手に接続できる部品をコネクタと表現して以下説明します。

 コネクタには半田や圧接によって芯線を直接結線するタイプと圧着した端子をコネクタに差し込むタイプがあります。後者のコネクタはハウジング、カプラとも呼ばれ、プラスチック製品が主流です。ハウジング、カプラは専用端子を圧着した電線が挿入できるようになっており、挿入すると引っ張っても抜けない構造をしています。

 圧接用のコネクタは本体、プロテクタ、リリーフ・クランプ・カバーなど3~4個の部品から構成されており、本体には被覆カット刃が付いた金属が複数付いています。圧接用コネクタはフラットケーブルや融着作業によりフラットに整列させたケーブルでなければ接続できません。

 半田用のコネクタには円筒状の端子でカップ状に芯線を受け止めるソルダーカップが付いていて、この部分に芯線を差し込み半田付けをします。半田を流すと芯線周囲とソルダーカップに半田が回り結線されます。ソルダーカップの内径以上の芯線は差し込めず結線できません。半田用のコネクタは半田結線部を保護するためにカバー部品を必要とする場合があります。

・外装品
 ワイヤーハーネスの外装品として主にチューブ、テープ、結束バンド、キャップ、コアが挙げられます。 チューブは電線やケーブルを覆って保護する役目があります。種類によって柔軟性、耐摩耗性、耐熱性、耐燃性、耐電性、遮蔽性など多くの機能を持っているため、ワイヤーハーネスにこれらの機能を付加することができます。また他の活用法として、チューブに信号名や行き先などを印字して銘板として使用する場合もあります。チューブは塩化ビニールなどの高分子化合物が主流です。

 また、熱収縮チューブと呼ばれている熱を加えると収縮して電線やケーブルに密着する特殊なチューブがワイヤーハーネス業界では広く使用されています。熱収縮チューブは使用部位の形状に柔軟に変形して密着・固定されるため端部の保護に便利で、銘板としても幅広く使用されます。

 テープは粘着性があり電線やケーブルに巻き付けて結束しかつ保護する機能があります。主にゴム系粘着剤とビニールなどの高分子化合物の2層で構成されていて、分岐が多いワイヤーハーネスに広く使用されています。カラーバリエーションも豊富で、色分けによる線の識別にも利用されます。

 結束バンドは電線やケーブルを束ね、整える配線部品です。一体成形のプラスチック製結束バンドが主流で、一度結束すると緩めたり取り外しが出来ない構造をしています。素材はナイロンなどの樹脂です。

 キャップは端子を保護するために端子に取り付ける部品でスリーブとも呼ばれています。保護の他にも防水、防塵などの機能を持っています。キャップの素材は塩化ビニールなどの高分子化合物です。

 コアはノイズ対策のためケーブルに取り付ける部品で、鉄を主成分としたフェライトコアが広く使用されています。フェライトコアはケーブルから発生する磁気エネルギーを集めフェライトの磁気損失によって熱に変換消費するため、ノイズをカットする役割があります。フェライトコアは通常左右対称な2つの部分に分かれていて、中央部に穴が空いて電線・ケーブルが通るような構造をしています。