下請法の該当条件

2019年07月17日

運営・経営

 下請法(下請代金支払遅延等防止法)は、親事業者による下請事業者に対する優越的地位の汎用行為を取り締まるために制定された法律です。ワイヤーハーネスの取引は下請法でいう下請事業者が製造し、発注先である親事業者に納入するケースが大半を締めています。ここでは下請法が適用となる下請取引の該当条件を説明します。
 
 下請取引の該当条件は①取引当事者の資本金の区分と②取引の内容の両面から定められています。
 
 まず①取引当事者の資本金の区分について説明します。ワイヤーハーネスのように製造を委託する取引の場合は発注側の親事業者の資本金が3億1円以上か、3億円以下かという条件で下請法が適応となる下請事業者の資本金の範囲が変わります。
 
 親事業者の資本金が3億1円以上の場合は、資本金が3億円以下である会社や個人事業者が下請事業者となり下請法が適応されます。また親事業者の資本金が3億円以下で1000万1円以上の場合は、資本金が1000万円以下の会社や個人事業者が下請事業者となり下請法が適応されます。両社の資本金の大きさによっては下請法の対象とならない場合がありますので注意が必要です。
 
 次に②取引の内容について説明します。下請法の規制対象となる取引は、その委託される内容によっても条件が定められています。「製造委託」、「修理委託」、「情報成果物作成委託」、「役務提供委託」と大きく4つの取引内容に大別されており、その対象となる取引は多岐にわたります。
 
 製造委託とは物品を販売し、または製造を請け負っている事業者が、規格、品質、形状、デザイン、ブランドなどを指定して、他の事業者に物品の製造や加工などを委託することをいいます。ここでいう「物品」とは動産のことを意味しており、家屋などの建築物は対象に含まれません。
 
 修理委託とは物品の修理を請け負っている事業者がその修理を他の事業者に委託したり、自社で使用する物品を自社で修理している場合に、その修理の一部を他の事業者に委託することなどをいいます。
 
 「情報成果物作成委託」と「役務提供委託」はソフトウェア、映像コンテンツ、各種デザインや運送、ビルメンテナンスなどの各種サービスについての委託ですので、製造業としてはあまり該当しません。
 
 ワイヤーハーネス業界の場合は「製造委託」の取引に該当する場合がほとんどで、「修理委託」に該当する場合も少なからずあります。
 
 製造委託は更に4つのタイプに分類されていて、これらの取引に該当していると下請法の適応対象となります。4つのタイプは①物品の販売を行っている事業者が、その物品や部品などの製造を他の事業者に委託する場合、②物品の製造を請け負っている事業者が、その物品や部品などの製造を他の事業者に委託する場合、③物品の修理を行っている事業者が、その物品の修理に必要な部品又は原材料の製造を他の事業者に委託する場合、④自社で使用・消費する物品を社内で製造している事業者が、その物品や部品などの製造を他の事業者に委託する場合です。ワイヤーハーネスの製造委託はほとんどが①か②に該当しています。
 
 以上のような下請法の該当条件から、大・中企業からワイヤーハーネスの製造を委託されている小企業が多いワイヤーハーネスの業界では、多くのケースが下請法の適応対象となっています。

参照:「ポイント解説下請法」 公正取引委員会・中小企業庁