売上債権の分析

2017年06月06日

運営・経営

 流動資産の主要3項目である現金及び預金、売上債権、棚卸資産のうち、ここでは売上債権に着目します。

 売上債権は商品の売上によって発生する代金を受け取る権利です。売上をいくら伸ばしても、売上代金が回収できないのでは、資金が不足して会社は潰れてしまいます。売上債権が大きいということは、回収されていない代金がたくさんあることを意味しますから、売上債権は大きければ良いというわけではないのです。

 では、売上債権はどのくらいであればちょうど良いのでしょうか。売上債権が適度な水準かどうか、それを検討するときに用いる比率が売上債権回転率です。売上債権回転率は、次のように求めます。

売上債権回転率=売上高÷売上債権 (単位:回転)

 売上債権回転率は、売上代金の回収の早さを回転数で表します。資金不足に陥らないためにも回収は多い方が良いわけですから、売上債権回転率は大きいほど良いということになります。一方、売上債権回転率が小さいということは、代金回収が遅れている可能性を示してします。

 例えばA社が売上高500万円で売上債権が100万円、B社が売上高5000万円で売上債権が2500万円だとします。売上債権回転率はA社が5回転、B社が2回転となり、A社の方が売上債権の回収が進んでいることがわかります。

 この売上債権回転率を過去の会計期間や他社と比べることで、代金回収がきちんとなされているかが分析できるのです。

 売上債権は顧客との交渉や割引により、その回収期間を変更できる場合もあります。適度な水準の回転率を保ち、安定した資金繰りを目指しましょう。

参照:「ゼロからわかる!決算書」 著者:石島洋一、石島慎二朗 PHP研究所