既存顧客の開拓

2017年04月17日

運営・経営

既存顧客の開拓は新規顧客の開拓の次に重要な営業の仕事です。ここでは既存顧客を開拓する方法を段階を踏まえながら紹介します。

・新規顧客から既存顧客へ
営業戦略に沿って開拓した新規顧客は取引が落ち着いついてくるとやがて既存顧客となります。

 新規顧客にしっかりと対応していれば継続的な受発注関係が出来上がり、取引の流れや初歩的な信頼関係が構築されてきます。顧客との関係構築にもよりますが、取引が落ち着くまでには契約や初回注文から数か月や数年の期間が必要です。

 受注した製品を顧客の要求通りに納入し、不良などが起きた場合のトラブル対応を適正におこない信頼を得ましょう。新規顧客には特にきめ細かい対応をすべきです。

・既存顧客の市況と自社のシェア
顧客との取引が開始されると、顧客の調達や設計の担当者など様々な関係者から情報を得ることができます。情報収集でまず重要なのはワイヤーハーネスの使用量、自社のシェアです。

 例えば担当者から年間のワイヤーハーネス使用量が約1000万円で、A社が500万円、B社が300万円、自社が200万円だとすると自社のシェアは20%です。この場合は自社のシェアを伸ばして売上を上げる余地があります。

 逆に自社がほぼ100%のシェアを占めている場合は営業に注力しても、売上の増加の余地は無いのです。しかし、ワイヤーハーネスを使用するメーカは複数の企業からワイヤーハーネスを仕入れている場合が多いので、初めからシェアがほぼ100%ということはあまりありません。

 また、今後の受注予測も重要な情報です。顧客が増産の場合は売上が増える見込みが立ちますが、減産の場合はシェアを上げていかないと売上が低下してしまいます。

・顧客のニーズの把握
自社のシェアがまだ伸ばせる余地がある場合、どうすれば自社のシェアを上げることが出来るか考えていきます。基本的には顧客のニーズを理解し、ニーズに沿った提案をします。

 まずは顧客のニーズを探ります。顧客のニーズといっても、調達担当者のニーズ、その上司のニーズ、設計者のニーズなど各関係者により要求は様々です。具体的には、コストを下げて調達したい、まとめて発注したい、試作品を1日でも早く欲しい、納期遅延を低減したい、不良率を低減したい、などがよくある要求です。

 また、顧客のなかで決定権限がある人物のニーズは特に重要になります。このニーズを満たすことが出来れば、シェア拡大の可能性が高まります。誰の、どのニーズを満たす提案を考えることが得策か情報を集めましょう。

 なお、この段階で他社と比較して自社をどう評価してくれているのか把握しておきましょう。自社の強みや期待されていること、逆に弱い部分(強化すべきポイントかもしれません)が分かれば、より良い提案が考えられます。

・顧客ニーズに対する提案
顧客ニーズや自社の評価などの情報から、どのようなニーズに対してどのような提案をすれば受注に繋がるのか検討します。

 例えば「決定権をもっている設計部の課長が試作をとにかく急いでいる」とします。また、自社のワイヤーハーネスには品質面で信頼を置いてくれているようです。この場合、自社で超短納期製作が出来るのか早急に段取り、他社より1日でも早く試作品を納めることを提案すれば、受注の可能性は高いはずです。

 良い提案をして、良い結果を出せば、良い評判と信頼をさらに獲得できて、さらなるシェア拡大のチャンスが期待できます。このような良い循環が生まれると、自然といろいろな案件が獲得できるようになります。提案は諦めずに、とにかく良く考えて種々の問題を解決することが重要です。

 以上、既存顧客を開拓する方法をご紹介しました。既存顧客の開拓が成功し、強い信頼を得られるようになると、既存顧客は新規顧客を紹介してくれるかもしれません。また、顧客の問題を次々に解決して、顧客に喜ばれることは仕事のやりがいにもなり、非常に良い循環が生まれます。