社会保険の手続き
2017年03月31日
従業員の保険料は給与額に応じての見直しが必要となります。社会保険関係の手続は総務の仕事ですが、本業務は一部、または全ての業務を社労士に依頼することができます。
従業員は毎年、給与額など変化があるので、給与額を基準に計算する社会保険料を見直す必要があります。保険料を算定する基礎となる標準報酬月額の見直しを「定時決定」といい、毎年7月に実施し、算定基礎届を作成します。定時決定の対象者は、7月1日に会社に在籍している従業員全員です。
給与額の変動のみならず、結婚や引っ越しなどで住所が変わったとき、単なる住所変更届だけでなく支給する通勤手当が変わるため、標準報酬月額が変更になります。結婚などで氏名が変わった際は、社会保険と雇用保険の変更届も必要です。
また、扶養家族の増減があれば家族手当の額が変わります。もし2等級以上の大きな違いが発生した場合は、標準報酬月額変更届を提出しなければなりません。
算定基礎届には、その年の4・5・6月の報酬額を記載し、これを元に9月からの標準報酬月額が決まります。基本給のほか、役員手当、家族手当、住宅手当、通勤手当、賞与などすべて含まれ、従業員に対し労務の対償として支給されたものはすべて報酬です。
給与から天引きされる社会保険料は、健康保険、厚生年金保険、介護保険(40歳〜65歳未満の被保険者)。いずれも保険料は会社と社員が折半して負担します。
保険料算定についてですが、「報酬(基本給や諸手当などの合計)の月額」と「4〜6月の3ヶ月の報酬月額」を合計し、それを3で割った「標準報酬月額」に保険料率を掛けた金額が、毎月の保険料額になります。当月給与から差し引くのは前月分の保険料です。
その年に計算した標準報酬月額は、9月(10月分給与から天引き)から翌年8月(9月分給与から天引き)に適用されます。ただし、年の途中に給与などが変動し、標準報酬月額が2等級以上(以下)変わる場合、変更届を提出し、保険料を改定する必要があります。
■社労士への業務委託
社労士とは社会保険労務士試験に合格し、実務経験のある人です。社労士は一般的に社会保険労務士事務所に所属しています。
社労士には入退社の手続や保険、年金、就業規則の作成・改定、給与計算などの労務に関わる仕事を委託することができます。また種々の労務問題に関するアドバイザーでもあります。
ワイヤーハーネスを製造している企業は数名~数十名以上の規模となると社労士に業務を委託しています。従業員数が多くなると入退社の手続が煩雑となり、また労務上起こる問題を相談する相手も必要となるため社労士に業務を依頼することが得策です。中大手企業では社内に社労士を雇用している場合もありますが、その場合もアドバイザーとして別途外部の社労士と契約しています。