インタビュー 阪神電線株式会社

2018年04月11日

インタビュー, 特集

 今回は阪神電線株式会社(以下、阪神電線)の井上執行役員にお話しを伺いました。阪神電線はワイヤーハーネスの構成部品となる電線のメーカであり、ワイヤーハーネスの製造もおこなっています。井上執行役員は長年にわたって電線製造に携わっていらっしゃいます。電線製造に関して貴重なお話しを伺うことができそうです。

――井上執行役員の経歴を教えてください。

 昭和54年に工業高校を卒業後してから電機工事業界の企業に入社し制御盤の製造やシーケンサのプログラムなどに携わっていました。通信や制御に関わる弱電分野と動力・電力に関わる強電分野を経験し低圧・高圧電機工事士などの資格を取得しました。当時勤めていた企業は大手電機メーカ関連の下請け会社で、仕事は非常に忙しく睡眠は1日で1~2時間というような生活でした。肉体的にも精神的にも辛い状況が何年も続き、独立や転職を考えるようになりました。

 独立や転職をする上で、下請け企業よりも「メーカ」が良いと考えていたところ阪神電線の求人に出会います。実は私は野球が大好きで、阪神タイガースの大ファンです。求人を見た当時は阪神電線が阪神タイガースに何か関連があるのかと思い、率直に興味を引かれました。阪神タイガースとの関連は全くありませんでしたが。(笑)

 阪神電線は志望していた「メーカ」であり、私の弱電・強電・プログラムの経験と知識が生かせる環境もありました。縁もあって1988年4月に阪神電線に入社し、兵庫県の加古川工場に配属となり電線製造を務めます。

 そして入社数年後、電線技術班の立ち上げに携わります。当時の阪神電線は製造機械の修理や改良を外部に委託していました。電線技術班は外部に委託していたそれらの仕事を担当し、製造ラインの早期復旧と社内技術の蓄積と向上に寄与する班です。新しい班の立ち上げは非常に大変でした。色々と直してきましたよ。電線技術班を10年以上務めた後、ワイヤーハーネス製造や管理職、課長職、GM職を経験し現在に至ります。

 阪神電線の事業は主にワイヤーハーネスの組立をおこなっているハーネス事業部と電線の製造をおこなっている電線事業部に分かれています。ワイヤーハーネスの製造は主に中国で、電線の製造は私が統括している加古川工場でおこなわれています。

――阪神電線の強みを教えてください。

 阪神電線の強みは多品種、少ロット、短納期の電線製造に対応できることです。多品種、少ロットに対応するために製造工程では様々な工夫をしています。短納期に対応するために自社倉庫の増設や製品在庫の保有も進めてきました。

 また弊社の電線やケーブルはUL規格やCSA規格などの海外規格、電気用品安全法に準じた国内規格など多くの規格に対応しています。

 最も出荷数が多いのはFAケーブルでロボット用の可動ケーブルなどが得意な分野となります。納入先は産業機械、医療、家電、自動販売機、楽器、自動車、二輪、住宅設備、アミューズメントなど幅広い実績がございます。

 その他にも電線以外のカスタム品製造も扱っています。例えば土留めネット用のワイヤーなどです。昔はゴムのガス管も製造していました。このような製品には電線の製造工程で必要な、伸線を引っ張る技術や樹脂を被覆する技術が応用されます。

――電線製造工程の特徴や大事なことを教えてください。

 電線の製造工程は大まかに電線製造各社でほぼ同じですが、様々な箇所に各社の技術やノウハウが詰まっています。その違いが製品や品質、サービスの違いに表れてきます。電線の製造は標準化が進んでいるなか、音や臭いや手の感触などをたよりに職人的な微調整や工夫を必要とします。

 以前、弊社では電線被覆への印字不良が多かった時期があったのですが社内で改良を重ねて改善してきました。現在では印字不良も含めた総クレーム件数は年間で1件となり、業界でも良い水準を保っています。このように常に改善を続けることが大切だと考えています。

――部下の育成やコミュニケーションで気をつけていることはなんですか。

 弊社の社是は「仕事は楽しくゆかいに」です。昔はみんなでバーベキューをよくやりました。瀬戸内のカキをバケツで仕入れたりして、飲みながらコミュニケーションを取っていました。最近では時代の流れでこのようなイベントは少なくなりましたね。

 最近は居酒屋甲子園と称して、有志で阪神タイガースの応援をしながら飲みニケーションを取っています。球場では大きな声を出してストレスを発散できますし、そういった体験を共に過ごすことでコミュニケーションは深まると考えています。上司がバカをしていると部下もついてくるものです。(笑)

 物作りに関しては「自分の作ったものに自信を持て」と部下に教えています。真剣に仕事に取り組んでいるからこそ、自分の製品に自信を持つべきです。愚直に仕事に取り組み続けてステップアップするように促しています。

――インタビューを終えて

 井上執行役員のお話しをお聞きしていると大変な苦労をされてきているお方だと感じました。なんと早朝には農作業をしてから出社されているそうです。阪神電線の社風その1は「あふれるバイタリティ」だそうですが、井上執行役員のバイタリティには脱帽です。

 インタビューを通して物作りの精神をご教示いただき、大変勉強になりました。阪神タイガースのエピソードは忘れられません。

 井上執行役員、ありがとうございました。

阪神電線株式会社 井上秀人 執行役員

http://www.hanshin-cable.co.jp/index.html

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