ワイヤーハーネスとは

2017年02月27日

特集

 ワイヤーハーネス(Wire Harness)は主に電気を伝える電線と、その電気を周辺外部に接続して伝達する端子やコネクタを組み立てた部品の集合体です。各種機器に動力となる電力と、機器制御のための電気信号を伝達する役割を持ち、自動車や様々な機械装置に組み込まれています。電気配線を必要とする機械装置であれば、ほぼ間違いなく使用されるため様々な分野の業界で使用されています。ワイヤーハーネスは広義の解釈で電気を1対1で伝達する簡易な構造の物から多数対多数で伝達する非常に複雑な構造の物、また細い物から太い物まで用途により幅広く存在します。

 ワイヤーハーネスは簡略してハーネスと呼称されるほか配線、ケーブル、電線、コード、束線やケーブルアッシー、電線加工品、ケーブル加工品、コネクタ配線、ケーブルハーネスなど慣用的な表現を含め様々な表現で呼称されています。ワイヤーハーネス(Wire Harness)の語源は所説ありますが、馬をコントロールする為の手綱や頭部、首、胴体に巻くバンドを総称するハーネス(Harness)に針金や電線を表すワイヤー(Wire)が合さってできた言葉であると言われています。電線を複数組み合わせて製作された電気配線が馬具のハーネスに似ていたことから、このように呼称されたと考えられています。現代においてハーネスは馬具の他にも動物や人体に巻き付けてコントロールや安全のための固定をおこなうバンドの呼称でもあり、ワイヤーハーネスと混同されやすい言葉です。

 ワイヤーハーネスには機械組立工程の簡略化、接続間違いの防止など作業性に関する機能やスペースの簡略化、可動や振動による摩耗の低減、耐火や耐油や耐ノイズなど環境耐性といった物理的な機能を持たせることができます。ワイヤーハーネスの主な構成部品は電線・ケーブル、端子、コネクタ、外装品(チューブなど)です。ワイヤーハーネスの設計では、各種部品の性能と特性から部品を選定しワイヤーハーネスに様々な機能や特性を持たせることができます。

 ワイヤーハーネスの製造は電線の曲がる癖を感じ取ったり、手の感覚で調整する作業が多くみられ、FA機械による全自動化が他の製造業に比較して進んでいないのが大きな特徴です。そのため、人海戦術による人手をかけての加工が主流で生産は主に人件費が低い国や地域でおこなわれています。大量生産をおこなっている製造現場ではライン作業が主流で各作業を細分化し、半自動・全自動機械を導入して効率的に流れるように人員と機械を配置しています。ワイヤーハーネスの製造現場は加工や作業に強い力が不要で女性に向いている軽作業や手作業が多いため、女性人員の比率が高い傾向にあります。

 ワイヤーハーネスの製造は日本標準産業分類において「大分類 E 製造業」、「中分類29 電気機械器具製造業」に該当し、小分類は「299 その他の電気機械器具製造業」の「2999 その他の電気機械器具製造業」に分類されることが主流です。